アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は長期にわたって経過し、症状が良くなったり悪くなったりをくりかえす、かゆみを伴う慢性的な湿疹・皮膚炎です。
小児から成人まで発症し、最近の統計では全国でおよそ45万人の患者さんがいて徐々に増加傾向を認めます。多くはアトピー素因といってぜんそくやアレルギー性鼻炎(花粉症)などを持っていたり、家族に同様な症状を持っていたりする人に発症しやすいといわれています。乳児にも見られますが、生後4ヶ月で有症率は12.8%で8人に1人という統計があります。
アトピー性皮膚炎は幼児期から多くみられ、成長に伴って症状は軽快していきます。3歳で有症率は13.2%ですが、大学生ではそれは8.2%までに減ってきます。成人になってもなかなか治らない場合や、成人発症例もあります。
アトピー性皮膚炎の湿疹の多くは左右対称性にみられ、乳幼児は、顔など露出する皮膚にできやすく、成長するにつれて、肘・膝の裏の関節部位から背中、お尻など広い範囲に拡大していきます。
非常に強いかゆみを伴うことがアトピー性皮膚炎の一つの特徴です。
このかゆみを我慢できず、かきむしることで、皮膚炎症状を悪化させてしまい、皮膚炎によってさらにかゆみが強くなるという悪循環が生まれます。

原因

アトピー性皮膚炎の原因ははっきりとは解明されていませんが、遺伝的なアトピー素因に加え環境的な要因など、複数の要因が関与しているとされています。
遺伝的なアトピー素因としては、皮膚のバリア機能の低下といって皮膚が過敏なため、かゆみが生じやすくなります。よって親がアトピー性皮膚炎の場合、子供もアトピー性皮膚炎を発症する例が多く報告されています。
環境的な要因としては日常生活におけるホコリやダニ、食べ物のなどのアレルゲン、乾燥や汗などの刺激にさらされることによって症状が悪化します。正常な皮膚の表面を覆っている角質層には油の膜があり、体の外からの刺激をブロックしたり、皮膚の内側の水分が逃げていくのを防ぐ役割をしたりしています。アトピー性皮膚炎の肌では、油分が少ないために、乾燥肌となり、様々な刺激に反応して皮膚炎を起こしやすくなります。

治療方法

治療の目標は,症状がないか,あっても軽くて日常生活に支障がなく,薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、その状態を維持することです。また, このレベルに到達しない場合でも、日常生活に支障をきたすような急な悪化がおこらない状態を維持することを目標とします。
アトピー性皮膚炎の治療は大きく分けて3つあり、外用療法、内服療法、生活指導です。外用療法の基本はステロイド外用薬やタクロリムス軟膏、保湿剤などの塗り薬です。また、かゆみが悪化の原因になるため、内服療法としては、かゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬などの飲み薬を併用します。当然ながら、症状の悪化を生じる原因を避けることや原因となる要因の追及も治療になります。
症状を良くするため、症状を再燃したいために塗り薬は適切な量を塗ることが大切です。ステロイドの塗り薬は塗る量が少なくなりがちなので、適切量の目安を覚えておきましょう。それは、お母さんの人差し指の先端から第1関節まで軟膏を出したとき(およそ0.5gに相当します)の量がお母さんの手のひらの2枚分の広さの部位に塗る量であることをご理解ください。
アトピー性皮膚炎では角質の水分量が少なくて乾燥し、皮膚バリア機能が低下しています。すなわち外的な刺激に対して容易にかゆみや炎症が生じてしまいますし、種々のアレルゲンの侵入を容易にして経皮感作やアレルギー炎症を生じやすくします。保湿剤を使用することで低下した角質水分量を改善し、皮膚のバリア機能を回復させ、皮膚炎の再燃予防とかゆみの抑制につながります。そのため乾燥した皮膚に対する保湿剤の外用に意味合いは非常に大切です。
内服としての抗ヒスタミン薬の中には、集中力や判断力、作業能率の低下を起こすものがあります。この状態のことをインペアード・パフォーマンスといい、自分では自覚できない場合もありますので注意を要します。そのため通常診療ではこのインペアード・パフォーマンスを生じにくい内服薬を選択します。

注意点

  • 日常生活の中で、皮膚に強い刺激を与えないようにしましょう。入浴や手洗いの時には熱いお湯に気をつけて適度な温度に設定し、石鹸やシャンプーは低刺激のものがすすめられます。また、入浴剤の使用に関しては原則おすすめしません。多くの入浴剤が皮膚の刺激になり、かゆみの誘発になるからです。また入浴や手洗いのあとには保湿剤の外用を心がけましょう。
  • 皮膚のバリア機能を正常な状態に保つために、充分な栄養と睡眠が必要です。偏った食事は睡眠不足・ストレスはアトピー性皮膚炎に悪影響がありますので、バランスのとれた食事と規則正しい生活を心がけてください。

よくある質問

ステロイドの塗り薬は、副作用が恐いといわれますがどのように使えばよいですか?
ステロイドの塗り薬は適切に使用すれば副作用は生じにくいので恐いものではありません。症状に関係なく、大量に使い続ければ副作用を起こします。その代表的な副作用は外用した部分の皮膚が薄くなる症状と部分的な細菌・真菌・ウイルス感染症の併発です。自己判断で塗る量を変更したり、塗らなかったりすると症状が悪化するので医師の指示を守って外用するようにしてください。
ステロイド外用薬は、どのようにつければよいですか?
1日2回(朝、夕:入浴後)保湿剤を広範囲に外用後にステロイド外用薬を患部に塗ることが原則になります。塗り薬は、すり込むのではなく、「乗せる」ように患部全体を覆うように、塗り広げます。症状に合わせて徐々に量を調整していくことで、副作用の心配もありません。また、外用薬は、皮膚を清潔にする必要があるので、特に入浴後に塗るのをお勧めします。
ステロイド外用薬を使用すると、皮膚の色が黒くなるのですか?
ステロイドの外用薬を使用することが原因で皮膚が黒くなることはありません。よく経験することは、アトピー性皮膚炎の患部にステロイドの外用すると皮膚の赤い炎症が治まった後に肌が黒く見えることがあります。これは、炎症の赤みで見えなかったメラニン色素がステロイド外用薬の使用により炎症が治まることで、元々あったメラニン色素が目立ってくるからです。それとは対象的に、日焼けしたあとに皮膚が黒くなるのはメラニン色素が新たに生成されるためです。ステロイドの外用薬の使用部位の黒さは日焼けのように新たにメラニンが生成されているのではありません。

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