円形脱毛症

円形脱毛症とは

「円形脱毛症」とは、円形や楕円形の脱毛斑が突然生じる疾患です。
円形脱毛症は、一般的には頭頂部に発生する10円玉くらいの脱毛というイメージをされる方が多いですが、頭部全体に広がるものや、眉毛やまつげ、体毛などに及ぶ重度のものまであります。頭全体のとき全頭型、全身のとき汎発型といいます。頭髪の生え際が帯状にぬけるとき蛇行型といいます。
かゆみや痛みなどの自覚症状はありません。脱毛部周辺の毛髪を引っ張ると、ほとんど痛みもなく簡単に抜けてしまいます。
円形脱毛症は様々な病状があります。最も多いは、頭部に豆粒大から500円硬貨ほどの比較的小さな脱毛が1カ所~数カ所にできるもの、頭部全体に広がり、ほとんどの髪の毛が抜け落ちてしまうもの、頭髪だけでなく、眉毛やまつげ、脇毛など全身の毛が抜け落ちてしまう重症型もあります。男女の差はあまりなく、加齢によるものではなく年齢に関係なく脱毛症状は発現します。円形脱毛症の頻度は人口の1~2%と推測され、この頻度は日本のどこでも、また米国でも同じで、社会情勢が変わっても変わりません。また、患者さんの2割程度に家族内発生、つまり血縁の家族にも円形脱毛症があります。円形脱毛症は人間では一定割合で必ずなる人がいて、また、なりやすい素質が遺伝しているようです。

原因

円形脱毛の原因は詳しくわかっていません。治療せずとも自然に治癒することもあります。
精神的ストレスが原因であると広く信じられていますが、これは主要な原因ではありません。ストレスと円形脱毛症を発症するメカニズムは解明されていませんが、誘因になるとされています。
現在円形脱毛症の原因としては毛周期の異常、自己免疫疾患、内分泌障害、自律神経障害など諸説ありますが、自己免疫疾患の異常によるものが多いと考えられています。
自己免疫は本来細菌やウイルスなどの外敵から身を守る機能を有しています。その担い手の一種であるリンパ球が誤って成長期の毛包を攻撃・破壊してしまうことで毛包が縮小して休止期状態になってしまいます。この自己免疫機能の異常が円形脱毛症の原因と考えられているのですが、なぜこのような異常が起こる原因については解明されていません。リンパ球の攻撃が抑えられれば元通りの毛が生えてきます。
また、最近では金属アレルギー症状による免疫反応による脱毛が報告されています。歯科で使用される金属性の詰め物が原因で、金属イオンと髪に含まれるケラチンに反応し、皮膚の毛包を攻撃してしまう例が報告されています。

治療法

日本皮膚科が会では円形脱毛症診療ガイドラインを作成しています。脱毛症状は始まってからの期間と脱毛面積に応じて治療法を決めていきます。始まったばかりで小範囲しか脱毛していない場合は、ステロイド外用薬や塩化カルプロニウム外用療法やグリチルリチン、セファランチンの内服療法で様子をみます。
狭い範囲ですが経過が長いようならば脱毛部分にステロイド薬を局所注射したり、ドライアイス圧抵療法をしたりもします。ステロイドの局所注射は痛みを伴うこと、副作用として注射部位が陥凹することがあり得ること、注射部位のみ発毛してしまうことが難点で、広範囲の脱毛の場合は不敵になります。
急速に拡大する場合はステロイドの内服治療を受けると効果があるのですが、数ヶ月以上の続けると糖尿病などの副作用が起きますので、2~3ヶ月で内服は中止して、再度抜けてしまう場合は内服再開できません。また、ステロイド内服治療は成長障害を引き起こす場合があり子供には使用できません。
広く脱毛して経過が半年以上の場合は、局所免疫療法が適応になります。局所免疫療法とはSADBE,DPCPなどの特殊薬剤を使用して脱毛部位に弱いかぶれを生じさせることを繰り返して発毛促進させる治療法です。有効率は60%以上で、現在最も有効な治療法です。これは小児でも治療可能ですが、中止すると再燃することがあるため長期間の治療になります。

注意点

  • 頭皮マッサージや栄養バランスの良い食事、適度な運動で頭皮の血行を促進し、発毛を促すように毛根を刺激しましょう。
  • ストレスは原因ではありませんが、起こりやすくなるので睡眠不足やストレスをためないようにしましょう。

よくある質問

脱毛してしまった部分はもう生えてこないのでしょうか?
脱毛が起こっている部分の毛包は休止していても永久破壊しているわけではないので、諦めないことが大切です。脱毛斑の少ない場合は、ほとんどが自然に治り、治療も不要なくらいです。しかし、広く抜けている場合ほど、脱毛が長引き、全頭型や汎発型では数年以上続くこともあります。ただし、例え何年も脱毛が続いていても、毛包の大元の細胞(幹細胞)は残っていますので、治療がうまく効けば毛がもどってきます。さらには自然の経過で思いもよらず生えてくることもあります。つまり、リンパ球の炎症が抑えられさえすれば、成長期の毛包は回復するのです。
円形脱毛症は遺伝しますか?
円形脱毛症自体は遺伝する病気ではありませんが、なりやすい体質は遺伝することがあるようです。
生まれつき頭の毛が少ないのですがなぜですか?
生まれつき頭髪が少ない状態も色々ありますが、こと場合は乏毛症、または無毛症といい、脱毛症とは区別します。

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